10月下旬、警察から呼び出しを受けた。道路に設けられた自動速度測定機でスピード違反を認定されたらしい。
話には聞いていたが捕まったのは初めてで、指定された日に出頭すると、運転中の私の顔と、クルマのナンバーを写した写真を見せられた。その日その道路を、私は確かに通過した。別に急いでいたわけではないが、葬式の帰路で、少し解放感があったかもしれない。日曜日の午後で道路も空いていた。しかし、50キロ制限のところ46キロオーバーと聞いて驚いた。
「この写真はあなたですね」と若い取調官が罪状認否に取り掛かった。なんだか妙に優しくソフトなので、ちょっと抗弁してみた。「私にしては顔が四角いようですが」「いや、私が見てもこれはあなただと思いますよ」「はあ、では私ですね。でもね、こんなに飛ばしたつもりはないんですが。測定機の誤作動ってことはないんでしょうか」「機械は正確です」
罪を認めると、指定日に地裁へ行くよう命じられた。略式起訴であちこち回され、被告人に8万円の罰金。控えのロビーには私のような不届き者が朝から40人。飲酒運転や事故もあるらしい。みんな寡黙でじっと順番を待っている。どこかで見たような光景だと思ったら、病院の待合室に似ていた。確かにどちらも楽しい待ち時間ではない。
罰金を払ったら終わりではない。罰金は刑事処分で、まだ行政処分がある。初犯なので違反点数は6点、30日の運転免許停止だが、温情により一日運転者講習を受ければ、29日分を短縮してもらえる。で、また指定日に出席。この日は運転できない。
講習は朝9時から夕方5時まで、交通マナーや適正テストを受けたあと、20分40問の試験を受ける。試験は簡単で、晴れて免許証を返してもらったが、一年間無事故無違反でないと6点は消えない。4点追加になると、こんどは60日免停のお達しが来る。
やれやれ、きついお灸だったが人身事故でなくてよかった。いい歳をしてこんなことをしていてはと深く反省。みなさんも安全運転を、と前科者からの体験談。
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