年末年始は7連休だが、どこへ行っても混雑するから出かける予定はない。といって、家でぐうたらしていてもすぐ飽きる。ほかに行くところもないので会社に出る。
来年度に向けて仕事はしこたま用意してあるから困らない。別に勤勉なわけではない。退屈しのぎにしているだけ。
会社に来ると妙に気分が落ち着く。それに、みんなが休んでいるときに仕事をすると、なんだか充実感が満ちてくる。自分でもヘンなやつだと思う。
大晦日と元日、2日ぐらいはのんびりして、朝から酒を飲んだり昼寝したりするが、今回は大阪の長男一家が全員で風邪を引き、シカゴの娘は日本から男友達を呼んで楽しいクリスマスだから、どちらも帰って来ない。孫がちょろちょろしないのは静かで幸いだが、そうは言ってもいささか拍子抜けする。
休み中いつも1回は下手なゴルフに出かけたものだが、今回はそれもない。友人を誘ってもひざが痛い、腰が痛い、肩が痛い、とはかばかしい反応もなく、メンバーを揃えるのに苦労する。寒いのにむりをすることもないなと、方針を変えた。
休みの間に働いた分、みんなが仕事を始めたころの3連休を「初春クルーズ 三保の松原と富士」に出かけることになっている。みんなとちょっとずらして遊ぶのが、また格別に楽しい。
このクルーズは、12月に社長職を降りた友人の暇つぶしに付き合って組んだ。退職金を取って閑職に就いたら、会社に来てうろうろしていると税務署ににらまれる、と税理士に念を押されたらしい。
役を降りていよいよ気楽な身、と退任の日が待ち遠しかった彼だが、何十年も毎日通って来た会社に、もう気安く行くなと言われると、これからどうしたらよいのだろう、と怖くさえなったようだ。
仕事、仕事でうんざりし、解放されて晴れ晴れし、でも行き場を失って愕然とする。人間は勝手なものだ。とはいえ他人ごとではない。
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