バレル研磨入門 コンパウンドについて
コンパウンドは、工作物の表面や研磨石を洗浄して研磨効果を高めるためのものです。
家庭用洗剤にも配合される界面活性剤を主成分とし、ほかに防錆剤、洗浄助剤などを配合しています。
形態は液体または粉体で、加工目的によって粗仕上用、中仕上用、光沢仕上用などがあります。
コンパウンドの5つの作用
①水の軟化作用
水に含まれる不溶性石灰塩(Ca成分、Mg成分など)が、研磨石や工作物の表面を被覆し仕上げ効率を低下させるので、その発生を防止する。
②洗浄作用
研磨石や工作物の汚れを除去して清浄に保つ。
③緩衝作用
発泡作用が研磨石と工作物の衝突を和らげる。
④潤滑作用
研磨石に適度な滑りを与え、光沢仕上げ時の切削性を向上させる。
⑤防錆作用
研磨面は活性化され錆びやすいため、研磨中・研磨直後の発錆を防止する。
コンパウンドの形態と特徴

液体コンパウンド
自動投入機を使って供給する場合に定量供給しやすく、バレル研磨機や付帯設備が自動化されたときに取扱性が良い。
粉体コンパウンド
一般的に液体に比べて光沢性と耐久性が高い。しかし吸湿性があるため長期保管には注意を要する。工作物に袋穴があると、粉体成分が残留することがある。
目的別コンパウンドの選び方
粗仕上げ
粗仕上用研磨石の使用によって、⼯作物の表⾯が活性化し錆びやすくなる。また、研磨石や工作物から出る磨耗粉や研磨粉が多くなるので、工作物表面が汚れやすくなる。
そこで、液体と粉体の特徴も加味し、洗浄・防錆効果の⾼い粗仕上用コンパウンドを選定する。
光沢仕上げ
細仕上用や光沢仕上用研磨石の使用によって、工作物の表面は平滑に研磨される。
そこで、液体と粉体の特徴も加味し、適度な潤滑性を有する光沢仕上用コンパウンドを選び、表面の平滑仕上げ促進して光沢度を高める。