バレル研磨入門 バレル研磨 用語集
本「バレル研磨入門」内の用語の他、当社の技術者が提供するテストレポートなどでも用いられる
バレル研磨用語について説明します。
ア行
用語 | 意味 |
---|---|
R付けRヅケ | ⼯作物のエッジに丸みをつけること。表⽰単位はmm(ミリ)で表す。 |
圧痕アッコン | バレル研磨中に研磨⽯が強く当り⼯作物の表⾯がへこんだキズのこと。 |
粗仕上アラシアゲ | 研削量が多く表⾯が粗くなる仕上。表⾯粗さでRa1μm以上をいう。 |
アランダム | 砥材の種類。アルミナが主成分(⼀般鉄鋼用)。 |
アンバランスウエイト | 振動バレルのモーターシャフトの上下に取り付けたおもり。上下がずれた状態でモーターを回転させて振動源とする。 |
F値Fチ | 遠⼼バレルや振動バレルで、ターレットやモーターが回転することにより生じる遠⼼⼒のこと。 |
カ行
用語 | 意味 |
---|---|
カーボランダム | 砥材の種類。炭化珪素が主成分(焼⼊れ・合⾦鋼用)。 |
カケワレ | 工作物や研磨石のエッジが欠けたり、部分的に割れたりすること。 |
乾式カンシキ | ⽔を使わない研磨法。湿式用の研磨⽯を乾式で使⽤すると⽬づまりが発生し研磨できなくなる。 |
鏡⾯仕上キョウメンシアゲ | 平滑性が高く、反射して物が映る鏡のような仕上をすること。表⾯粗さでRa0.1μm以下にすること。 |
グリーンカーボランダム | 砥材の種類。炭化珪素が主成分(焼⼊れ・合⾦鋼⽤)。 |
結合剤ケツゴウザイ | 砥粒を結合して研磨⽯に成形するものをいう。 |
研磨材ケンマザイ | 研磨石や砥材をいう場合と、これらを総称していう場合がある。 |
研磨石ケンマセキ | 工作物を削ったりバリを取ったりするもの。メディアともいう。ビトリファイド系メディアやアルミナ系メディア、プラスチックメディア、ソフトメディア、スチールメディアなどをいう。 前後に外来語が来るとそれと連係してメディアということがある。 |
研磨量ケンマリョウ | 研磨前の工作物重量から研磨後の工作物重量を差し引いた重量減をいう。 |
光沢仕上コウタクシアゲ | 平滑性が高く、艶のある仕上げ⾯にすること。 通常は光沢を良くするには平滑⾯を出さないと良い光沢仕上とならない。 |
混合比コンゴウヒ | ⼯作物と研磨⽯の容積⽐率のこと。例えば工作物:研磨石=1:3とは、研磨⽯が⼯作物の3倍の容積であること。 つまり工作物容積は、マス容積の1/4になる。工作物の個数を容積に換算するには、定量容器に工作物をランダムに⼊れてみて個数を数える。 バレル槽の中では工作物がきれいに整列しないため、このようにして個数を確認する。 |
コンパウンド | バレル研磨用の洗剤で⼯作物や研磨⽯の洗浄などをするもの。 |
サ行
用語 | 意味 |
---|---|
サイクルタイム | 1つの研磨仕上げ工程を実施する時間。例えばブラシ研磨であれば、1つの工作物を仕上げる時間。 |
細仕上サイシアゲ | 表⾯粗さでRa0.3μm以下にすること。 |
仕上シアゲ | 研磨⾯を平滑できれいな⾯にすること。 |
湿式シッシキ | 通常、バレル研磨では⽔を使って研磨するので湿式研磨という。 |
重圧バレルジュウアツバレル | 当社が開発したオリジナル研磨機で、遠心バレルと同様にバレル槽が自転と公転をするが、遠心力が2~4倍である一方、自転スピードが1/10~1/2とゆっくり回転する。 |
重切削ジュウセッサク | 粗仕上の中でも研削量が多いときにいう。 |
周速・周速値シュウソク・シュウソクチ | 円盤の、ある半径位置における単位時間当りに進む距離。表⽰単位は、m/min。 渦流バレル研磨機やジャイロ研磨機の能力を表すときに使うことが多い。 |
焼結ショウケツ | 粉体を融点以下または部分的溶融の程度に加熱して強固な結合体とすることをいう。 |
焼成ショウセイ | 粉体を成形し加熱して収縮・緻密化させ、一定の形状と強度をもつ焼結体を得ること。 ビトリファイド系メディアを焼き固めること。 |
スケール | 鉄鋼を熱処理した時に付着する青黒い酸化⽪膜をいう。 |
スマット | バレル研磨後の鉄鋼やSUSの⼯作物表⾯に着く⿊い⽪膜状の汚れ。ぬぐい取ればとれるがコンパウンドの選定でほぼ解消できる。 |
選別センベツ | マスを研磨⽯と⼯作物に分離すること。分離⽅法は、振動選別機、磁気選別機、及び傾斜選別機の3種による方法がある。 |
装入量ソウニュウリョウ | バレル槽に研磨⽯と⼯作物であるマスを投⼊したとき、バレル槽容量に対するマス容量の割合でパーセントで表す。 |
相対運動差ソウタイウンドウサ | 工作物と研磨石が、重さや形状の違いにより両者間に摩擦を生じ、それによる運動量差をいう。 |
素材ソザイ | バレル研磨前の工作物。加⼯前の材料表⾯のこと。 |
粗仕上ソシアゲ | 研削量が多く表⾯が粗くなる仕上。表⾯粗さでRa1μm以上をいう。 |
ソフトメディア | ⺟材にコーンやくるみを用い、その表面にワックスで砥粒をコーティングしたもの。 |
タ行
用語 | 意味 |
---|---|
ターレット | 遠⼼バレルや重圧バレルで、バレル槽をその円周上に配置して公転させるための円盤。 |
対辺距離タイヘンキョリ | バレル槽の内壁間の距離をいう。研磨石のサイズは、バレル槽の対辺距離の1/8以下となるように選定する。 |
タクト処理タクトショリ | 当社の振動バレルCWSや、ジャイロ研磨機、ブラシ研磨機などを使って、1個ずつ⼯作物を連続して処理することをいう。 これに対する用語として「バッチ処理」がある。 |
打痕ダコン | バレル研磨中に⼯作物同⼠がぶつかってできるキズのこと。 |
脱脂ダッシ | 切削加⼯やプレス加⼯で付着した油分を、バレル研磨前に除去することをいう。 |
タップ密度タップミツド | 定量容器に研磨⽯を詰めたときの比重(Kg/ℓ)。研磨石のタップ密度は大まかに以下のとおり。 ビトリファイド系メディア:1.5〜1.8 アルミナ系メディア:2.2 プラスチックメディア:1.0〜1.4 スチールメディア:5.0 ソフトメディア:0.7 |
チッピング | タイルやセラミックスなど、硬くて脆いものを研磨するとエッジがカケることがある。これをチッピングという。 |
中仕上チュウシアゲ | 研磨⾯を平滑にすること。表⾯粗さでRa0.3μm〜Ra1μmをいう。 |
つまり | ⼯作物の⽳や隙間に研磨⽯がはさまって取れなくなること。 |
共摺りトモズリ | 新品の研磨⽯は表⾯状態が粗かったりバリがあったりするので、バレル研磨前に研磨石だけをバレル研磨機に投入して研磨し、面取りをすること。 特に光沢⽤の研磨⽯は研磨⽯⾃体に艶が出るくらい共摺りしておくと良い。 また⼯作物だけで研磨するときも共摺りという。 |
砥粒・砥材トリュウ・トザイ | 研磨⽯の中に配合するもので、これが工作物を研磨する切刃となる。 |
ナ行
用語 | 意味 |
---|---|
2次バリ2ジバリ | バリが叩かれて寝込んだものをいう。プラスチックメディアを用いると2次バリが生じにくい。 |
ハ行
用語 | 意味 |
---|---|
バッチ処理バッチショリ | 工作物をバレル槽に入れて一定時間研磨処理することを「バッチ処理」という。「タクト処理」に対する用語でもある。 |
バリ取りバリトリ | 切削加⼯やプレス加⼯により⼯作物のエッジ部に生じる不要な突起をいう。 |
バレル | 昔、⽊のタル(Barrel)を使⽤していたが、現在は専⽤の容器にゴムやウレタンの内張りライニングを施して使⽤している。 これから現在でも「バレル」という総称が使われている。 |
バレル研磨バレルケンマ | バレル槽に⼯作物、バラの研磨⽯、⽔及びコンパウンドを装⼊し、回転や振動を与えて⼯作物と研磨⽯との間に相対運動差を生じさせ表面仕上げする加⼯法。英語では「マスフィニッシュ」ともいう。 |
ピーニング硬化ピーニングコウカ | ショットブラストをすると表面が硬くなり疲労強度を増すことができる。 バレル研磨においても同様の効果がある。 |
微小切削ビショウセッサク | 研削量は少ないが研削することで表⾯粗さを細かくしながら、光沢仕上をする。 |
ビトリファイド | 粘土質結合剤(長石、珪石、粘土)をいう。ビトリファイド系メディアが研磨石の中で使用量が最も多い。 |
表面粗さヒョウメンアラサ | ⼯作物表⾯のミクロ的な凹凸のこと。表⽰単位は、μm(マイクロメートル)。JIS規格でパラメータが規定されている。 |
フラップ | 当社の振動バレルCCLで、マスを選別網上に上昇させるための昇降板。 |
平滑仕上ヘイカツシアゲ | 表面をミクロ的にみるとガタガタの山や谷になっている、その山の部分を削り取って平らな面を作りだすこと。 |
防錆ボウセイ | ⼯作物に錆⽌め処理をすること。⽔溶性防錆剤としてTH-BⅡがある。 |
ボールバニシング | 光沢仕上の中でもスチールボールを⽤いて表⾯を叩いて光沢仕上をすることをいう。 |
補助ウエイトホジョウエイト | 振動バレル⽤モーターの基本ウエイトに取り付けて加振力を調整するおもりをいう。 |
ホワイトアランダム | 砥材の種類。アルミナが主成分(焼⼊れ・合⾦鋼⽤)。 |
ボンド | 砥粒を結合して研磨⽯に成形するものをいう。 |
マ行
用語 | 意味 |
---|---|
マイティ・マイルド | 重圧バレル研磨機の商品名で当社の登録商標。 |
マス | バレル槽に投入する研磨⽯と⼯作物のかたまりの総称。 |
マス面マスメン | 静置したバレル槽のマス表面をいう。バレル槽に水を入れるときに「マス面上20㎜」などという。 |
摩耗量マモウリョウ | 研磨⽯がバレル研磨により擦り減る量をいう。 |
水置換ミズチカン | ⼯作物の防錆処理に当たり、⽔に濡れたまま処理したいときに⽔切りをして表⾯に薄い油膜を付けること。⽔置換防錆剤としてTH-RⅢがある。-RⅢ。 |
メッシュ | 砥材の⼤きさを表す。1インチの間にある「ふるい⽬」の数で表す。 #(番)でよぶ。 #20(0.7〜1. 4)mm #220(0.03〜0.088)mm #2000(0.007〜0.009)mm |
目づまりメヅマリ | 研磨⽯の表⾯の気孔にその磨耗粉がつまって研磨効果が出なくなることをいう。 |
メディア | 工作物を削ったりバリを取ったりするもの。メディアともいう。ビトリファイド系メディアやアルミナ系メディア、プラスチックメディア、ソフトメディア、スチールメディアなどをいう。 前後に外来語が来るとそれと連係してメディアということがある。 |
ヤ行
用語 | 意味 |
---|---|
遊星旋回ユウセイセンカイ | 遠心バレルや重圧バレルで、バレル槽が公転しながら自転することをいう。 |
ユーラスモーター | VS(バイブレーションセパレーター=振動選別機)選別機に振動源として使用。 |
ラ行
用語 | 意味 |
---|---|
ライニング | バレル槽の内壁保護や工作物に傷が付かないよう、ゴムやウレタンをバレル槽内壁に張り付けること。 |
リードタイム | バレル研磨などの作業の開始から終了までにかかる時間。製品化までにかかる時間。 |
粒度リュウド | 砥材の⼤きさを表す。1インチの間にある「ふるい⽬」の数で表す。 #(番)でよぶ。 #20(0.7〜1. 4)mm #220(0.03〜0.088)mm #2000(0.007〜0.009)mm |
流動・流動層リュウドウ・リュウドウソウ | バレル槽内でマスが運動する流れのこと。 バレル槽内でマスが流動すると、表面にある厚みをもった層を形成する。その層を特に「流動層」という。 振動バレル以外のバレル研磨機では、流動層で工作物と研磨石に相対運動差が生じて研磨される。 振動バレルも流動を生じるがマス全体が振動するので、振動するマスそのものが流動層といえる。 |
ワ行
用語 | 意味 |
---|---|
ワーク | ⼯作物に同じ。ワークピースともいう。 |